銅/ニッケル/装飾クロムめっき | |
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ニッケル3号表面 | クロム3号表面 |
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ニッケル梨地表面 | クロム梨地表面 |
ニッケル1号表面 | クロム1号表面 |
俗に、素材そのままの表面状態で仕上げるめっきを「3号めっき」、バフ仕上げのめっきを「1号めっき」と言います。
1号めっき、2号めっき、3号めっきという言い方は、昔、光沢ニッケルめっき浴というものが無い時代、素材をバフするだけでなく、中間層のめっきもバフした鏡面仕上げの装飾めっきを1号めっきと言い、素材だけバフしたものを2号めっき、バフ無しのめっきを3号めっきといって、区別していた頃の名残です。
光沢ニッケルめっき浴が登場し、1号めっきと2号めっきの仕上がり具合の差というものが曖昧になり、2号めっきという言い方は、完全に廃れてしまいました。
最近では、1号めっき、3号めっきという言い方もあまり使われない傾向にあるとはいえ、ニッケル3号(Ni−3)やクロム1号(Cr−1)という名前で処理依頼を承ることはしばしばあり、現場でもバフ有り無しを区別するため便宜的に使用しております。
光の反射を防ぐため、梨地仕上げにする場合、銅や真鍮ならば素材そのものを梨地仕上げしてニッケル−クロムめっきをしますが、鉄素材の場合は、素材そのものを梨地仕上げしても、下地の銅めっきとニッケルめっきによって、荒らした表面の目が埋まってしまい、仕上がりの表面に艶が出てしまいます。
そのため、鉄素材にあらかじめ銅めっきを比較的厚く付けた後、サンドブラストで梨地面にして、ニッケル−クロムめっきを施します。
ニッケル3号とクロム3号 | ニッケル梨地とクロム梨地 | ニッケル1号とクロム1号 |
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ニッケルめっきは、適度な装飾性、耐食性、耐摩耗性、耐薬品性をもつ金属皮膜で、作業性も良く、処理コストも比較的低いため、装飾目的や機能性の向上など、幅広い用途に対応するめっきです(図.3各写真の左側参照)。
ニッケルは、空気中において表面に酸化皮膜を生成し腐食が進行しないので、高い耐食性を示すのですが、銅めっきと同様に、素材まで達する傷やピンホールがあると、素材と皮膜の電位差から局部腐食電池を形成してしまい、素材の腐食が進行します。
また、環境の変化によって、白く変色しやすく、光沢がなくなってしまうという弱点があります。
そのため、機能性の向上よりも、装飾性が重要なめっきの最終仕上げとしては、ニッケルめっきは不適切とされる場合があります。
装飾クロムめっきは、下地めっきとしてニッケルを厚付け(10ミクロン程度)した後、0.1ミクロン程度の極薄いクロムめっき施す、装飾目的のめっきです。
色調は、やや青みがかった銀色です(図.3各写真の右側参照)。
当社の鉄素材上への装飾クロムめっきは、銅めっきを最下層めっきとして、中間層に光沢ニッケルめっきをし、最後に色調を整えるためのクロムめっきを施すので、皮膜は三層構造になっています。
ちなみに、硬質クロムめっきは、下地めっきを施さず、素材に直に厚付けするクロムめっきの事で、装飾クロムめっきとは区別されます。
色調は、装飾クロムめっきと同様ですが、硬さや耐摩耗性などの機械的性能の向上を要求される部位に使用され、主に工業用目的として用いられるので、硬質クロムめっきは工業用クロムめっきとも言います。
装飾クロムめっきの最上層のクロムめっき皮膜は、0.1ミクロン程度と非常に薄いので、装飾クロムめっきを施しても下地のニッケルめっき以上の硬さや耐摩耗性を得ることはできません。
しかし、クロム金属は空気中の酸素と結合し、表面に緻密な酸化皮膜を生成するため、耐食性に優れ、下層の銅−ニッケル皮膜を腐食から防ぎます。
また、クロムの酸化皮膜は、破壊されても速やかに空気中の酸素と結合して再生するので、変色しにくいという特徴があります。
青みがかった銀色の色調のクロムめっきは、単にその装飾性だけでなく、ニッケルめっきの変色防止としての役割もあるのです。
クロムめっきは、高機能な特徴を持つかわりに、付き回りが非常に悪いという欠点があります。
図.3のクロム3号とクロム1号の写真をよく見て頂ければ解ると思いますが、L型アングルの内側角部分には、クロム皮膜が十分にのっておらず、下地のニッケル皮膜の色が透けて見えています。
これは、電解液中のクロムイオンが、電流密度の低い部位まで回らず、クロム金属が還元析出していないからです。
このような、凹んだ部分へ、均一にクロム皮膜を電着させるには、補助陽極を用い、凹んだ部分の電流密度を上げる必要があります。
有効面が凹んだ部分であったり、複雑な形状をした製品に均一に装飾クロムめっきを施すには、その製品に適した補助陽極を作成しなければなりません。
また、クロムめっきは、銅やニッケル、亜鉛などと違い、付き回りが悪いので、バレルめっきが非常に難しいという欠点も有ります。
そのため、当社では、どんな小さなものでも、一つ一つジグに引っかけております。
以上のような理由から、装飾クロムめっきは、他のめっき処理と比較して、作業性の面で劣ると言えます(表.1参照)。
めっき種 | 耐食性 | 装飾性 | 耐摩耗性 | 膜厚 均一性 | 耐変色性 | 導通性 | 作業性 |
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銅めっき | △ | ○ | △ | ◎ | × | ◎ | ○ |
ニッケルめっき | ○ | ○ | ○ | ○ | △ | ○ | ○ |
装飾クロムめっき | ○ | ◎ | ○ | × | ◎ | △ | △ |
めっき種 | 処理槽大きさ(mm) 横幅×縦×深さ | 最大重量(Kg) | バレルめっき | 適応素材 |
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銅めっき | 1500×800×800 | 〜100Kg | 可能 | 鉄、銅、真鍮、ステンレスに適応。 アルミは難素材ですが、処理可能です。 |
ニッケルめっき | 1500×800×800 1000×800×800 | 〜100Kg | 可能 | |
装飾クロムめっき | 500×500×600 | 〜50Kg | 不可 |
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