主なアルミニウム合金の化学成分と特性

参考資料:「アルミニウム表面技術便覧」(軽金属出版)
「金属なんでも小事典」ブルーバックス(講談社)
展伸用アルミニウム合金の主要添加元素による分類
 特性及び用途についての解説
種類
(JIS呼称)
化学成分(%)
Si Fe Cu Mn Mg Zn Cr Ti その他 Al
1000系 純アルミニウム
 純度99.9%以上。加工性、表面処理性が優れ、耐食性はアルミニウム合金中最良である。
 純アルミニウムであるため強度は低いが、純度が低くなるにつれて、多少高くなる。
 装飾品、化学工業用タンク類、フィン、台所用品、箔、コンデンサー、反射板、容器、電線などに用いられる。
1080 0.15 0.15 0.03 0.02 0.02 0.03 - 0.03   99.80以上
1070 0.20 0.25 0.04 0.03 0.03 0.04 - 0.03   99.70以上
1050 0.25 0.40 0.05 0.05 0.05 0.05 - 0.03   99.50以上
1100 1.0 0.05〜0.20 0.05 - 0.10 - -   99.00以上
2000系 アルミニウム−銅(Al-Cu)系合金
 主要な添加元素が銅であり、強度が高く、機械的性質や切削性に優れている合金。
 ジュラルミン(2017)、超ジュラルミン(2024)が代表的で、超ジュラルミンの硬度は鋼に匹敵する。
 ただし、2000系の合金は、銅を多く含むので、耐食性が悪く、また陽極酸化性も悪い。
 航空機向けには、表面に純アルミニウムを重ね合わせて、耐食性を向上させて使用している。
2011 0.04 0.7 5.0〜6.0 - - 0.30 - - Pb 0.20〜0.6
Bi 0.20〜0.6
残部
2014 0.05〜1.2 0.7 3.9〜5.0 0.40〜1.2 0.20〜0.8 0.25 0.10 - Zr+Ti 0.20
2017 0.20〜0.8 0.7 3.5〜4.5 0.40〜1.0 0.40〜0.8 0.25 0.10 - Zr+Ti 0.20
2024 0.5 0.5 3.8〜4.9 0.30〜0.9 1.2〜1.8 0.25 0.10 - Zr+Ti 0.20
3000系 アルミニウム−マンガン(Al-Mn)系合金
 マンガンの添加により、純アルミニウムの加工性、耐食性を低下させることなく、強度を少し増加させた合金。
 加工しやすいので、建築用材、車両用材として用いられる他、アルミニウム缶のボディ、台所用品、電球口金などにも使用されている。
 陽極酸化性は比較的良好であるが、弊社においては、受注をうける機会の少ない合金である。
3003 0.6 0.7 0.05〜0.20 1.0〜1.5 - 0.10 - -  
3004 0.30 0.7 0.25 1.0〜1.5 0.8〜1.3 0.25 - -  
4000系 アルミニウム−ケイ素(Al-Si)系合金
 ケイ素(Si)を添加した材料は陽極酸化後灰色に発色する。
 自然発色合金としてカーテンウォールなどの建築外装品として利用されている。
4043 4.5〜6.0 0.8 0.30 0.05 0.05 0.10 - 0.20  
5000系 アルミニウム−マグネシウム(Al-Mg)系合金<
 アルミニウムの耐食性を劣化させずに、強度をあげるため、マグネシウムを多く添加した合金。
 アルミニウム合金の中では、最も耐食性が良い。
 加工性に優れ、陽極酸化性も良好であるので、車両、船舶、建築用材、通信機器部品、機械部品など、幅広い用途がある。
5005 0.30 0.70 0.20 0.20 0.5〜1.1 0.25 0.10 -  
5052 0.25 0.40 0.10 0.10 2.2〜2.8 0.10 0.15〜0.35 -  
5056 0.30 0.40 0.10 0.05〜0.20 4.5〜5.6 0.10 0.05〜0.20 -  
5086 0.40 0.50 0.10 0.20〜0.7 3.5〜4.5 0.25 0.05〜0.25 0.15  
5N01 0.15 0.25 0.20 0.20 0.20〜0.6 0.03 - -  
6000系 アルミニウム−マグネシウム−ケイ素(Al-Mg-Si)系合金
 強度、耐食性、陽極酸化性が良好。
 代表的な合金である6063は、優れた押出性を有しているので、建築用サッシとして大量に使われている。
 建築、車両、家具、家電製品などに使用。
6101 0.30〜0.7 0.50 0.10 0.03 0.35〜0.8 0.10 0.03 - B 0.06
6063 0.20〜0.6 0.35 0.10 0.10 0.45〜0.9 0.10 0.10 0.10  
7000系 アルミニウム−亜鉛−マグネシウム(Al-Zn-Mg)系合金
 アルミニウム合金の中でもっとも強度のある7075は、超々ジュラルミンと呼ばれ、日本で開発された合金。
 かつては零戦に用いられ、現在でも航空機の構造材に用いている。
 ただし、銅が多く添加されているため、耐食性は悪く、陽極酸化性も比較的劣る。
 鉄道車両、スキーのストック、金属バットなどのスポーツ用品に使用。  
7075 0.04 0.5 1.2〜2.0 0.30 2.1〜2.9 5.1〜6.1 0.18〜0.35 - Zr+Ti 0.25
7N01 0.30 0.35 0.20 0.20〜0.7 1.0〜2.0 4.5〜5.0 0.30 0.20 Zr 0.25,V 0.10


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